税理士法人 はやぶさ 兵庫県 神戸市 中央区の会計事務所
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[相談]
私は、宅地建物取引業を営む会社を経営しています(消費税課税事業者です)。
このたび、当社は本社事務所用の建物を一般消費者(インボイス登録事業者でない人)から購入することとなりました。
そこでお聞きしたいのですが、上記の場合、一般消費者からの建物の購入であることから、当社はその建物の購入について、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の規定の適用を受けられるという理解で合っていますでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の取引は、貴社が自社で使用するための建物(固定資産)の購入であることから、原則として、帳簿のみの保存では仕入税額控除の規定の適用を受けることはできないこととなります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
消費税の納付額は、課税期間(※1)中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ(※2)等に係る消費税額を控除して計算します。
この「課税仕入れ等に係る消費税額を控除すること」を「仕入税額控除」といいます。
※1 法人における消費税法上の課税期間とは、原則として、事業年度となります。
※2 課税仕入れとは、原則として、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、もしくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいいます。
上記1.の仕入税額控除の規定は、事業者が、その課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、原則として、その保存がない課税仕入れ等の税額については、適用しないと定められています。
したがって、(インボイス制度導入後に)仕入税額控除の規定の適用を受けるためには、原則として、帳簿と請求書等(インボイス)の保存が必要となります。
上記2.の規定については、宅地建物取引業者である事業者が、適格請求書(インボイス)発行事業者以外の者から建物を購入する場合には、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の規定の適用を受けられることと定められています。
ただし、この規定ができるのは、購入する建物が、原則として、(購入者の)棚卸資産(販売用の建物)に該当する場合に限られます。
したがって、今回のご相談の取引は貴社が自社で使用するための建物(固定資産)の購入であることから上記の規定の適用はなく、原則として、貴社がその建物の購入について仕入税額控除の規定の適用を受けることはできないこととなります(※3)。
※3 ただし、インボイス制度開始から一定期間は、今回のご相談の場合のような一般消費者等からの建物の購入であっても、区分記載請求書等の保存などの要件を満たすことで、一定額について仕入税額控除の規定の適用を受けられるという経過措置が設けられています。
[参考]
消法2、19、30、消令49、平成28年改正消法附則52、53、国税庁軽減税率・インボイス制度対応室「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」(令和6年4月改訂)など